もう実家に帰った時くらいしか新聞を読む機会がないんだけど、その書評欄で見かけて気になっていた本。「Y字路」に焦点を絞ったこだわりが何だか面白そうだと思った。
路上を歩いてそれぞれに個性的なY字路の表情を味わい、地図をひもといてなぜそこにY字路が生まれたのかを考える。人がY字路に抱くイメージを追い、街にY字路を形成してきた人の営みを思う。
著者の撮ったY字路の写真を見ながら、「このY字路は好き。」「こっちは何かいまいち・・・」と色んな顔を持つY字路を楽しむ。実際に現地に行って、周辺の空気や生活感も込みで体感してみたいと思うY字路もあった。
・・・のだけども、地図をもとにY字路ができる様々な過程をたどり、Y字路を含む町の成り立ちを考察する章になってくると、地図を見るセンスがからっきしの私は、だんだんと話についていけなくなり、興味がしぼんできてしまった。
どうやら私はY字路が喚起する物語性に惹かれるんであって、地図とか地形とか路上観察っていうことにはあんまり興味ないんだな・・・ということに気づかされた、かも(苦笑)。(と同時に、そんなことに興味の薄い私でも面白く見れてしまう『ブラタモリ』ってすごいんだなってことにも気づかされた。)
でも、散歩に出かけた近所の原っぱで、こんもり盛り上がった場所を避けるように分岐して延びる踏み分け道を見て、「あ、Y字路の赤ちゃん。」と思うくらいにはY字路のことが気になるようになってきてる。

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