2012年01月30日

逃げる男 : オノ・ナツメ

『逃げる男』 オノ・ナツメ

 ひとときの「避難」を必要とする人と、それを受け入れる森、「逃げる人」とともにある熊。シンプルなだけに、色んな深読みや自分に引き寄せた読み方のできるお話しだと思う。

 しかし、ほとんど絵だけで読まないといけない割に、何が描かれているのか・・・オノ・ナツメさんのザクッとした描線では描かれたものの姿が詳細に見てとれなかったりもする。私の眼力のなさのせい、もしくは作品とのシンクロ度の低さのせいもあるけど。

 二、三度読み返して、私の中にポッと灯ったのは「スーツ萌え」という言葉だったり・・・(それがふさわしい言葉かどうか自信がないが)。

 森を出ていく男が再び身に着けたスーツ・・・そのスーツ姿は実にいろんなこと〜これまでとこれからの人生、そこで費やされた想い、スーツという衣服が持つ社会性を背負うということ・・・〜を語っているようで色っぽかったので。

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2012年01月29日

歌舞伎ワンダーランド

『歌舞伎ワンダーランド―スッピンの物語が心にしみる』

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 2004年発行のムック。たまたま見つけて、山本タカト氏の表紙にとびついたのです。

 山本タカト氏の描く歌舞伎公演ポスターや、筋書のイラストや、役者絵を見てみたいというのは、私の夢なのです。玉三郎さんの『忍夜恋曲者』を観たときも、「この舞台を山本タカト氏に描いてほしい〜〜〜」と思ったもんです。「ぴあ」にできることがなんで松竹にできないんだろう???

 江戸文化や風俗の紹介に歌舞伎観劇のいろは。歌舞伎音楽や有名演目の解説と、勘九郎さん(当時。現・勘三郎さん)、三津五郎さん、染五郎さん、菊之助さん、松緑さん、新之助さん(当時。現・海老蔵さん)、愛之助さん、勘太郎さん、七之助さん、亀治郎さん、獅童さんら花形役者のインタビュー。

 オールカラーで舞台写真も満載。古本で購入したのでこの豪華さで200円弱。なんか申し訳ない。

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2012年01月27日

「きのう何食べた?」5巻から〜ミネストローネ

Image195.jpg 昨日「MOCO'sキッチン」で作ってたのを見て食べたくなったミネストローネ。

しかし、もこみちさんは油の使用量がすごすぎて、見てるだけで胸やけしちゃう。なので、作り方はシロさん流で。

生のトマトは高いので、カットトマト缶を使用。


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2012年01月25日

ヴォイド・シェイパ : 森博嗣

『ヴォイド・シェイパ』 森博嗣

 自分が何者であるかを知らない一人の若い武芸者の旅。

 ゼンはもの心つく前から山奥の庵で師・カシュウと二人きりで暮らし、師に倣い剣の腕を磨きつつ成長した。師・カシュウの死とともに山を降りたゼンは、カシュウの痕跡をたどりながら、世の中を、人を自分を見、剣の立ち合いを通して様々に考える 〜 「強さ」とは、「生」とは、「死」とは何か。

 ゼンは絶え間なく思考する。理屈を構築し、検討し、他人の理屈を突き合わせ・・・。合理的と思える答えを探し、絶え間なく思考することで、自分という存在を量る。「すべては無」であることを知り、その中で変化しつづける自分を感じる。この小説は仏教の実践書のようでもある。思考し続けることを、つい面倒と思ってしまう私にはかなり息苦しいが。
 

 各話の扉に引用された新渡戸稲造『武士道』よりの言葉の方が、私には衝撃的であったかもしれない。
 なぜなら、もし愛情が徳の行動に結びつかない場合は、頼りになるものは人の理性である。そしてその理性は、直ちに人に正しく行動することを訴えるからである。

 何か・・・この言葉は色々と衝撃的だった。「愛」が正しい行動の原理たりえるということも、また、「理性」(=「義理」)が「愛」の機能不全を補い得るとされていることも・・・。

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2012年01月22日

大河

 三上博史いいなぁ。・・・いいなぁ・・・。

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2012年01月21日

出星前夜 : 飯嶋和一

『出星前夜』 飯嶋和一

 島原の乱? なら、天草四郎でしょ。と少しばかりロマンティックに考えて読み始めた自分が恥ずかしい。藩主の悪政に対し、島原半島およびその対岸天草で勃発した大規模な反乱を、地の鳴る音が聞こえるような不穏なうねりの中に描いた大作だった。

 
 かつてキリスト教の布教や異国との貿易が行われ、それぞれに個の気概を持つ人々が暮らし、前藩主有馬氏に従って関ケ原や朝鮮での戦を経験した軍役衆の残る土地柄。その地に加えられた宗教的弾圧。領民に表高の二倍もの年貢を課し、その生活の現実を見ることもない藩主松倉家による愚劣な政治と過酷な支配。ひたすら耐え、生き延びようとする人々を襲う天災、それに続く飢餓、病。理不尽に命を奪われる子供たちの純粋すぎる怒りと虚無。生活の軛を離れ、教会堂の森にたてこもる子供たち・・・蜂起前夜の気配。

 人々がそれぞれの心に従い起こしはじめた行動は、意図しない結果をも招き、止めようのない流れにのまれ・・・一人ひとりの異なる想いで撚られていたであろう糸は、激しくうねりのたうつ一本の「反乱」という太縄へと糾われていく。
 重要なのは、崇高な理想や理念を唱えることではない。それはむしろ大勢を破滅へと導く。馬鹿馬鹿しい武力衝突や騒乱を回避するためには、泥臭い駆け引きこそが重要だ。

 そう説いた有家村鬼塚の庄屋甚右衛門さえもが、結局は蜂起勢の一人となり、軍を率いて、先には全滅しかない戦を戦う。

 人々の信仰心も、矜持や誇りも、生への思いも、大量に流された血の中で踏みつぶされ葬られる。もはや止まることのないこの絶望的で救いのない反乱の中に、作者は小さな星を書き入れた。矢矩鍬之介〜教会堂の森に立て籠もった少年たちの頭。反乱に加わるもそれがもたらす結果のあまりの愚かさ、悲惨さを厭い、島原の地を抜けて長崎にたどりつき、その後は贖罪と無私の心で人々を生かす医者として生きた青年。蜂起勢が死に絶えた後にただ一つ残った蜂起衆の心。

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2012年01月14日

ああ、快適空間。

 かなり久しぶりにネットカフェに行った。

 約5時間滞在して「ジョジョ」を読む。未読の第4部を読むつもりだったのだけど、復習のつもりで第3部途中から読み始めたせいで、岸辺露伴が登場するとこまでは読めず。本編読んでから『岸辺露伴ルーブルへ行く』を読みたいんだけども。

 それにしても、ネットカフェのブースって居心地いいわぁ。自宅にあれそっくりの空間を作りたいと真剣に画策中。

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2012年01月10日

言葉が出ない

 正月は山口泉『アルベルト・ジャコメッティの椅子』を読んでいました。

 80年代バブル期の日本。青年は人々の、世の中の愚劣さを憎悪しながら、自分の「物語」が世界を根底から覆すことを夢想し、長大な小説を書きつづける。その青年が手に入れた1枚の石版画 〜芸術家の目と手によって現実の空間から切り出された現実以上の現実・・・圧倒的な「真実」 〜 ジャコメッティの『椅子』。


 ・・・数日前に読み終えているのですが、びっくりするほど何も・・・何の感慨も言葉も出てこないのです。・・・困惑。




2012.01.12追記

 作中の青年は、自分の物語が最終的には失敗するのではないかと思っている。それと同じように、もしかしたら、作者も予めこの小説が読者には伝わらないことをどこかで想定しているのではないだろうか。何かそんな気がする。そんな気がするから、この小説を読みながら、私の中の何かが閉じてしまった。読み終えて何も出てこなかったのは、そんな訳なのかもしれない・・・と思ったり。

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2012年01月08日

大河

 もう何年もNHKの大河ドラマを見ていなかったけど、今年は見てみようかなと思ってる「平清盛」。

 でも、平太・・・「海賊王になる」って・・・。

 NHK・・・え? そういうこと?

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2012年01月06日

生きても生きても : 西炯子

『西炯子エッセイ集  生きても生きても』 西炯子

 “私はその辺にいる人たちと同じではない”“私の本当の居場所は「ここではないどこか」にある”・・・自分は特別であるという思いを拠りどころとする一方で、たとえば肉親のような近しい人にさえ、自分の想いは正確に伝わるわけではないということを思い知らされ、その孤独に傷ついてもいた10代の頃、西炯子のマンガに出会った。椋本兄弟、嶽野義人・・・西炯子の描くお話しは私に寄添ってくれた。

 学生時代の終わり・・・“大人になる”ということが漠然と頭をよぎり始めた頃、やはり西炯子のマンガを読みながら、自分の中の愛しくて悲しい何かを、もうすぐ失ってしまうだろうということをぼんやりと予感していた。

 それから・・・気がつくと西炯子のマンガを読まない何年かが過ぎていた。西炯子のマンガがなくても、仕事をして、食べて、遊んで、生活できた。


 数年前、西炯子のマンガに再会した。以前より随分穏やかな気持ちで読んだ。それは、もしかしたら少しさびしいことかもしれないが。


 西炯子さんにはとてもお世話になった。せめて・・・少しは良い大人になれているだろうか、私は。

 

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2012年01月04日

おとしだま

 実家からの帰り、高速道路のSAで見た光景・・・

 大勢の人で込み合った売店の床に四つ折りにしたお札(色の感じでは多分5千円札)が落ちているのを見つけた小学生くらいの子供。拾ったお札をどうするべきかちょっと困っている様子で、近くにいたお母さんらしき女性を呼び、お札を渡す。お母さん(らしき女性)すかさずお札を自分のバッグに入れた・・・ように見えた。子供はあっけにとられてるようだった。

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2012年01月02日

新年のおやつ

Image193.jpg 故郷に帰省…のはずなのに、実家ではなく海の見えるホテルに泊まってたりして。

キョロちゃんチロルとブラックサンダーチロルをつまみにテレビで歌舞伎中継とか鑑賞。

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