私が読んだことのある乱歩作品の中で(どれだけ読んだか正確に覚えていないのですが)一番好きな作品です。
魚津に蜃気楼を見に行った帰り、東京へ向かう列車で乗り合わせた老人から私に語られる、夢ともうつつともつかない話。浅草十二階・覗きからくりの中の美少女・空へ上っていく色とりどりの風船。遠眼鏡の、また覗きからくりのレンズに切り取られた色彩溢れる夢幻の世界と、列車の中の薄闇。
非常に映像的で幻惑をさそう短編です。
随分古い話になりますが、2時間サスペンスドラマ枠で同タイトルのドラマが放映されたことがあったと記憶しています。押絵のモチーフこそ使ってありましたが、筋立ては小説とは大分異なったものになっており、なにより押絵がとても大雑把な作りで残念な作品になっていました。
乱歩生誕100年の年に映画化され「屋根裏の散歩者」とともに公開されていましたが、残念ながら見るチャンスがありませんでした。こちらの映画は評判が良いようなので見てみたいのですが。
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私事ですが
私にも夢とも現実ともつかない幼い頃の記憶があります。
農家だった祖母の家に行った時のこと。納屋の2階の部屋で遊んでいたのですが、箪笥の引き出しに入っていた花札(もしかしたらかるた)を床にばら撒いてしまいました。色鮮やかな札にみとれていたのですが、その中に女の幽霊の絵があるのをみてぞっとした記憶があるのです。今にして思えば夢のようにも思えます。



