2018年03月01日

博多座二月花形歌舞伎 昼の部

【磯異人館】
 これはトシのせいなんだろうなぁ・・・。泣く以外なかったわ。

 『磯異人館』は平成19年の納涼歌舞伎と平成23年の博多座で、いずれも当時勘太郎だった現勘九郎さんが岡野精之介を演じられたのを観てる。穏やかな物腰に包み隠した理不尽な世の中への憤りと無念さ、遣る瀬無い想いを振り払うように打ち込む薩摩切子づくりへの激しく滾る情熱・・・そんな精之介に勘九郎さんの芝居がハマりにハマって涙が頬を濡らしたものだが、お涙頂戴といえばそれはまぁお涙頂戴なストーリーにどこかちょっと気持ちがひいていた部分も実はあったのだ。

 しかし、このトシになって観る『磯異人館』は・・・ひたすらハンカチを絞りながら気持ちよく泣いた。もう、自分からお涙頂戴の海にザブザブと溺れにいく感じ。

 精之介って、色んなものを背負わなくちゃいけないお兄ちゃんで、出てきた瞬間から切なさの塊なんだもの。橋之助さん、最初の出の磯異人館庭の場ではちょっと気負いがあるように見えたけど、福之助さんの周三郎とのコンビでこれからも何度も観たいと思う精之介だった。

 五代才助・松也さん・・・才能に恵まれ仕事のできる切れ者で、情に厚く友達想いで肚の据わった頼れる男。それでいてどこか可愛げもある非の打ちどころのない好男子・五代才助を演じる役者はぜったい得だ!と思う。松也さん、好い漢でした。

 ハリソン・亀蔵さん・・・このお役、もう亀蔵さんしか考えられない。このお芝居の欠かせない一部になっているような風貌。

 加代・鶴松さん、可憐な娘にしてはちょっと声が野太い・・・。喉嗄れちゃったのかなぁ。この季節の博多は乾燥とPM2.5で苛酷だからなぁ。

 瑠璃・児太郎さん・・・古風で個性的な顔立ちに品が増してきたように思う児太郎さん。可憐な中にとらわれの王女の気丈さと気品、美しかったです。

【於染久松色読販】お染の七役
 七之助さんの七役早替わりに加え、勘九郎さんの三役早替わりが呼び物の一つであったけれども、それが「早替わりのための早替わり」でなく、自然にストーリーの中にとけこんだ早替わりになっていてとても良かった。

 早替わりを呼び物にした出し物では、とかく早替わりの演出ばかりが突出して見えてしまうことがあるが、今回の「お染の七役」はストーリーを見せることに重点が置かれていたようで、早替わりはそのストーリ−の中にごく自然な形で現れた。観ている方はさほど早替わりに意識を持って行かれることなくストーリーに夢中になっていると、鮮やかに姿を変えた七之助さんが目の前に現れるといった具合で、「早替わり」に力みかえった演出よりもむしろ新鮮な驚きが味わえたように思う。もちろんそれは七之助さんの七役をさらりと鮮やかに演じ分ける力量あってのことで、その実力に感じ入った舞台でもありました。幕切れのお六の立ち廻りカッコ良かった!

 小狡いヤツなのに憎めない番頭善六・橋吾さん、おっきななりの(笑)丁稚久太・いてうさん、好きだ(笑)。二人とも『磯異人館』での憎まれいじめっ子キャラから一転、愛おしキャラへ。猫背におっきな目をくりくりさせて悪巧みする橋吾さん、微笑ましい。いてうさんの「当月博多座出演役者づくし」楽しかった〜〜〜
ラベル:歌舞伎
posted by sweet_pea at 22:50| Comment(0) | 歌舞伎観劇の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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