Netflixのドラマ版CMを見て、「何これ、面白そう」と思ったのがきっかけ。Netflixには加入してないので小説読もうと。
天を衝くパラボラアンテナ。ナノマテリアルの研究者・汪Eの撮った写真に写りこみ、視界を覆うゴースト・カウントダウンの文字。明滅する宇宙。奇想天外なファンタジー設定でありながら妙に生々しいVRゲーム『三体』の世界。
あ〜これ、映像で見たら面白いだろうなぁ〜〜〜。
三体問題をはじめ、数学、物理学の分野に話が踏み込む場面が多くて、「あ、これ理系センスがないとわかんないやつか?」と一瞬ビビるが、理系云々関係ナシに楽しめるエンターテインメント色濃いめな感触。(もちろん理系センスあればさらに楽しめるんだろうけど)
科学知識は武器になるけどメンタル人並みの汪Eとワイルドがすぎる警官・史強。反発と挑発と繰り返してた二人が、互いに信頼のようなものを抱いていくそのバディぶりはもう間違いのない様式美ではないだろうか。
人類に絶望したある一人の科学者が放った叫びに呼応して、異星の艦隊が地球征服に動き出す。
『おまえたちは虫けらだ』
異星人の高次元すぎる攻撃と強者すぎる恫喝にエリート科学者たちが心を折られ戦意喪失する中、
『やつらはどうやら一つの事実を忘れちまってるらしい。虫けらはいままで一度も敗北したことがないって事実をな。』
史強が言い放つ台詞は、登場人物たちだけでなく私たち読者が心に抱える、自分たち生きる社会、文明への懐疑や絶望感をなぎ払う。そのワイルドな生命力に「ぅおおおおおおぉ〜、大史〜〜〜〜!!!!」と拳が突き上がってしまう。
続編を読もう。
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