これまでに何度か観たけれども、道理も理屈も当の息子の気持ちさえものともしない母の大きすぎる愛がちょっと怖い・・・と思ってしまう「引窓」。(かつて観た竹三郎さんのお幸の情の濃さ、「この母にはもう何を言っても無理だ」感がねぇ、凄かったものだから)
でも、前回観た時から約10年が過ぎて、さすがに、この歳になって観ると少しは感じ方変わるのではないかしらん? と思ったのだけど、やっぱり母の愛は大きすぎた。梅花さんのお幸もね、愛が真綿のお布団なのよ。息子を頭からすっぽり包みこんでしまう分厚くて大きな真綿の布団。
そんな「超お母さん」なお幸さんとは良いコンビだと思う、大らかで可愛くてちょっと天然な与兵衛の女房お早さん。鶴松さん、女方としてひとまわり大きくなられた感じ。もっと娘々した感じのお早さんになるのかな・・・とイメージしていたんだけど、可愛さの中にもしっとりとした色気のある若妻ぶりが美しかったです。
橋之助さんの南与兵衛(南方十次兵衛)、前半の無邪気にはしゃいだ様子も、後半の母の胸の内を慮っての孝行ぶり、立場を擲っての長五郎への思いやりも与兵衛の素朴で善良な人柄が滲んでいました。前半の与兵衛に関しては私、仁左衛門さんの円熟の軽みを観てしまっているものだから、それに比べると「若いな」と思ってしまうのだけど、その「若さ」があるからこそ、より「息子」であることが感じられたのだとも思います。
福之助さんの濡髪長五郎。濡髪は福之助さんに合うと思います。経験を重ねながらこれからも勤めていただきたいと思います。
【お祭り】
もう本当に「待ってました!」
勘九郎さん、すっかり堂に入ったもので粋に、甘く、心浮き立つ風を客席に吹かせます。
浮き浮きする気分のせいか、少し軽やかすぎるくらいに感じるところもあったのだけど。
【福叶神恋噺】
『金に恨みは数々ござる〜』
何だか俳優祭のお芝居を観ているような(TVでしか観たことないけど)明るさ、楽しさ、賑々しさ。
ぐうたらな大工・辰五郎と辰五郎にとりついた貧乏神おびんちゃん。
甘〜い声でおびんちゃんの名前を読んで、まあるい目をくりくりさせる辰五郎・虎之介さんの愛嬌! かわいいっ!
思わずほだされちゃうお人よしで働き者のおびんちゃん(七之助さん)、美人! 健気っ!
誰一人悪人のいない世界の人情噺。笑って泣いて心洗われてきました。
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