2012年01月30日

逃げる男 : オノ・ナツメ

『逃げる男』 オノ・ナツメ

 ひとときの「避難」を必要とする人と、それを受け入れる森、「逃げる人」とともにある熊。シンプルなだけに、色んな深読みや自分に引き寄せた読み方のできるお話しだと思う。

 しかし、ほとんど絵だけで読まないといけない割に、何が描かれているのか・・・オノ・ナツメさんのザクッとした描線では描かれたものの姿が詳細に見てとれなかったりもする。私の眼力のなさのせい、もしくは作品とのシンクロ度の低さのせいもあるけど。

 二、三度読み返して、私の中にポッと灯ったのは「スーツ萌え」という言葉だったり・・・(それがふさわしい言葉かどうか自信がないが)。

 森を出ていく男が再び身に着けたスーツ・・・そのスーツ姿は実にいろんなこと〜これまでとこれからの人生、そこで費やされた想い、スーツという衣服が持つ社会性を背負うということ・・・〜を語っているようで色っぽかったので。

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2010年10月13日

ばっくり開いた傷に甘いお薬 〜 さらい屋五葉 : オノ・ナツメ

『さらい屋五葉』 オノ・ナツメ

 ああ、終わった。

 剣の腕はたつものの気が弱すぎて何もできない浪人・秋津政之助と、凄みの中にも大きな余裕を漂わす不思議な男・弥一の出会いから始まったこの物語。不穏な空気が漂う中盤の息苦しさに危うくギブアップするところだったが、最後まで読むことができて良かった。

 第八集表紙の政之助〜何か大きなものを捨てて、少し汚れて、しかし揺るがない何かを得たような凄みと色気のある表情。第一集の気弱げな上目遣いからのこの政之助の変貌が物語の顛末を一番雄弁に語っているのだろう。

 拐かしを生業とする五葉の一味であった弥一。なりゆきでずるずると巻き込まれていく政之助。戸惑いながらも五葉は政之助のかけがえのない“居場所”となり、それぞれに事情を抱える五葉の面々の間にも絆らしきものが芽生え初め・・・

 政之助だけでなく、皆の居場所となりつつある五葉に影を落とす弥一の過去。

 せっかく穏やかに凪ぎかけた五葉の面々の心を不穏な黒雲が覆っていくのを感じるのも、追い詰められ、壊れ、汚れる弥一を見るのも辛かった。辛い時間は長かった(まるまる四巻分くらいはずっと辛かった)。しかしそれだけに、悲しくもちょっと甘すぎるくらいの結末が傷にこっくりと沁みていく。




追記
 こういう結末で収めるなら、やはり物語の時が動き出す“見初め”のシーンは大事だろう・・・と、弥一と政之助の出会いの場面を読み返す。そんなにあざとい演出は施されていなかったけど、やはり弥一の表情と、どうみてもヤバイ人・弥一がさしだす団子は印象的。

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2009年03月16日

Life is Beautiful! 〜 GENTE 3 : オノ・ナツメ

「GENTE 3」 オノ・ナツメ

 「リストランテ・パラディーゾ」外伝シリーズも、これで最終巻となるんだそうだ。寂しい。

 リストランテの紳士たちや、その周りの女性たちの、ちょっと苦いところにも触れるお話。

 ふわふわとした幸せだけで満たされていたわけではない、長い人生を経てきた「大人」の横顔、背中、眼差し、涙。

 不運も、失敗も、苦い思いもあったけど、人生に対しては肯定的で、今を楽しんで、大切に思うものがあって。堂々と、そしてひっそりと恋をして・・・。

 大人であることをこんなに素敵にみせてくれるコミック作品があって嬉しい。



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2008年04月21日

GENTE 2 : オノ・ナツメ

「GENTE 2」 オノ・ナツメ

 「リストランテ・パラディーゾ」の外伝第2巻です。

 
 最近、人と接するのが苦手になったな〜 とか、煩わしいな〜 ってしょちゅう思うんだけど、実は臆病になっちゃってるだけで、ホントのところは、ぴったりと心からつきあえる友人を渇望してるんですよね、私。でも、そのために何かアクションをおこすのが億劫でならない・・・と。ダメじゃん、私。

 そういう状態で読むとちょっと苦しいです、このお話。

 リストランテ「カゼッタ・デッロルソ」周辺の人たちって、不器用ながらもちゃんと人と接してるのよね。

 今の私みたいな自己完結状態じゃ、とてもこのお話の中に身の置き所は無いなぁって。ああ、私とこのお話の間に透明の壁がある。目には見えるけど・・・いいなぁって羨んでるんだけど、今の私ではそこには入れない。辛い。



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2008年01月19日

Danza : オノ・ナツメ

「Danza」 オノ・ナツメ

 閉じていた心を開いて、これから緊密で、暖かく、幸せな関係を作っていくには、抱えている屈託が大きすぎる。心に抱えている屈託は、もう私の大事な一部だから。

 でも、“憎んでいるのではないよ”と、大切な人へ指先をさし伸ばし、わずかにつなぐ。

 
 多くを語られないけれど、眼差しに込められる心からの親愛と信頼。


 器用ではない男たちの心の揺れ、交流、交感。オノ・ナツメさんの絵でなかったら、こんな感じで伝わることはないと思う。

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2007年08月29日

GENTE : オノ・ナツメ

「GENTE 1 」 オノ・ナツメ

 昨日は男子高校生、今日は老眼鏡紳士・・・。


 “老眼鏡紳士がおもてなし”「リストランテ・パラディーゾ」の外伝シリーズ第1巻です。

 リストランテ「カゼッタ・デッロルソ」オープン当時のお話6編(描き下ろし1篇含む)。

 本編より数年さかのぼる話なんで、当然のこととは言え、紳士達が“ほんの少し若い”! 私はそのことに感動したのですよ。初老には変わりない男性のほんの数年分の若さをどうやって描き分けてるんだろう? ホントに!数年分だけ若く見えるんだよ〜! 凄い技術としか言いようがない。

 絵が凄いだけじゃなくて、もちろんストーリーも・・・「カゼッタ・デッロルソ」が今の形になる前の様子や(シェフが今と違うのね〜)、リストランテの外での出来事なんかがわかって、改めて本編読み直すとまた味わい深い。

 みんな暖かくて、前向きで、気遣いのできる人たちで・・・こんな人たちに囲まれていたら、それはまさにパラディーゾ。



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2007年07月28日

amato amaro : basso

「amato amaro 」 basso

 「『クマとインテリ』再び」だそうです。ヒゲ面のクマ男とメガネのインテリ山盛りです。ジェラートも美味そうです。好きな人にはたまらんです。

 前作は大人にしてはスッウィ〜トな恋愛話でしたが、今回は皆さんやはり年齢の分屈託もあり・・・で、もどかしいというか、満たされないというか・・・そんな感じがちょい切なくて良いです。

 この方の漫画の登場人物ってみんな優しいんだよなぁ。



 ホントは「さらい屋五葉」を楽しみにしてるんだけど、なかなか新しい巻が出ないから〜と思っていたら・・・8月30日発売予定ですね。あと1ヶ月かぁ。

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2007年03月22日

クマとインテリ : basso

「クマとインテリ」 basso

 昨年の偶然の出会い以来、何かと気になるオノ・ナツメ作品。basso名義のものにもついに手を出しました。

 眼鏡(老眼鏡)のインテリ紳士にジェラート! そそられるモチーフ満載。年齢層ちょっと高めなんですが、ストーリーは他愛のないというか、可愛らしい恋・恋・恋〜〜! 各話にほぼもれなく“ちょっと頬が赤らんでしまうシーン”がありますし、絵が個性的なんで、一見濃い味か?と思ってしまいますが、口当たりとしては軽い感じ。

 感じのいいお話しではあったんですが、BL含めて色恋の匂いにあまりときめかなくなっている自分を発見。この心の潤い不足は結構憂うべき状態なんじゃないか?

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2007年03月02日

さらい屋五葉第二集 : オノ・ナツメ

 本日買いました! 「さらい屋五葉 第二集」

 ん〜 もう、すっごくいいところで終わるんだもんな〜。また夏が待ち遠しいじゃないか。

 今回、政は体調不良で療養してばっかですが、これは・・・あれですね。杉浦日向子さんのエッセイにもあった・・・江戸のご飯は白米メインで、そればっかり食べてるせいで、ミネラルが不足してかっけになることが多かったっていう・・・。江戸を離れて、玄米に野菜!なんていう田舎の食事に戻すと、たちまち治ってしまうんですってね。なんか、こうやってお話しの中に出てくると、“ああ、それはね”なんて、ちょっと雑学自慢したくなりますな。

 一味の仲間で居酒屋の亭主・梅の過去の話がこの第二集の中心になってるんで、前巻にはない、梅の色んな表情が見られます。やっぱこうやって表情が出てくると、読んでる方としても情が移ってくるなぁ。

 政の表情も、ただオドオドしてるんじゃない、物思わしげなとこも出てきて良いです。

 夏に出るらしい第三集は、松の過去が出てくるのかなぁ〜? 実は私、五葉の仲間の中で、松が一番気になるんですよ〜。ミステリアスな色男・弥一にはそれほど興味ない・・・というわけじゃないけど・・・江戸の男はやっぱり、月代をすっきり剃ってなきゃ。

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2007年02月11日

not simple : オノ・ナツメ

「not simple」 オノ・ナツメ

 「・・・歩いていると、よく親切な人に出会う。今ここにこうしていられるのは、その人たちのおかげだと思う。あたたかいよね。本当に感じたいのは、もっと近くにいる人たちからのぬくもりなのに。」

 姉を探して旅をする青年イアン。ただ求めたのは家族の温もり。ひたむきに、最善を尽くして生きてきたのに、全くツキに見放された彼の人生。“映画にすればウソっぽく見える”ほどすごい(最悪の)彼の人生。

 まったく、イアンの人生は悲惨な現実の連続だけど、決して彼の周りに不幸と悪意ばかりが溢れているわけじゃない。結局イアンの望むようにはならなかった彼の家族だって、身勝手な人たちではあるけど、極悪人な訳ではなくて、どこかにイアンに対する愛は持ってらしい。ただ、イアンの求めるものと、イアンに与えられるものはいつもいつも、うまく一致しない。

 イアンの言うように、旅の途中には優しい人たちもいたし、心惹かれる女性にも出会った。イアンの側で彼を見守り続ける友人もいる。イアンが最後まで求め続けたのが“家族の温もり”でなかったら・・・あんなに寂しい終わり方でなく、もっと明るい人生もあっただろう。

 イアンのまわりの優しい人たちは結局、イアンに“関係のある”人にはなりきれなかった。イアンが求める人はイアンに応えず、イアンを求める人にイアンは答えられず・・・すれ違う“関係”っていうのはやりきれません。

 オノ・ナツメさんの絵って、「不幸」な感じがないだけに、それがもう卑怯なまでにやりきれなさを増幅させるのです・・・。



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2006年09月11日

艶色大江戸裏稼業〜「さらい屋五葉」 : オノ・ナツメ

「さらい屋五葉」 オノ・ナツメ

 近所の本屋で見つからずネット書店で注文していた「五葉」が届きました。帯には「艶色大江戸裏稼業」の文字。「リストランテ・パラディーゾ」「老眼鏡紳士がおもてなし」といい、帯のアオリ文句が秀逸だなぁ。

 腕は立つが、お人よしの上めっぽう気が弱い浪人の秋津政之助は、用心棒の仕事をクビになりへこんでるところを、不思議な凄みと余裕を感じさせる遊び人風の男・弥一に声をかけられる。弥一に用心棒として雇われただったが、弥一の正体は人さらいを生業とする「五葉」という一味の頭で・・・。

 身体はでかいくせに猫背で上目遣いで、ぼ〜っとしてて、人が良くて、泣きそうな顔と「ござる、ござる」という口調が可愛い。謎が多く、クールな目力が不思議な色気を放つ弥一。この二人もいいけど、すっきり剃った月代に縞の着物が粋な「五葉」の一味・飾り職人の松吉が気になる。江戸の男は青々と月代剃ってなきゃ!

 それにしても・・・の「ござる」は可愛い。

 「喰うものはないでござる」
 「それがし、蕎麦の喰い方が上手くないでござるので・・・」
 「前に出たら危ないでござるぞ!」
 「恥ずかしいでござる」
 「それがし・・・来るでござる・・・!」
 「馳走になったでござる」
 「役に立てたら良いと思うでござる」

 このぎくしゃくした「ござる」〜放っておけないわぁ。確信犯的なんだろうなぁ。

 この巻では政之助の剣の腕を見せる殺陣のシーンはちょっと迫力不足でうまく逃げられた感があるけど・・・今後、格好いいの姿を見られる機会はあるかなぁ。弥一や「五葉」の一味の抱える「事情」はこれから明らかになっていくのか? 気弱なはどう変わっていくのか? 本当のドラマはこれからって感じですね。

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2006年09月06日

リストランテ・パラディーゾ : オノ・ナツメ

「リストランテ・パラディーゾ」 オノ・ナツメ

 おお〜〜〜! 紳士だ! 紳士!! あっちもこっちも紳士! しかも老眼鏡の!! 枯れているのに色っぽい! どういうことだ?!?!

 ・・・と、ちょっと平常心を失ってしまいます。

 そういえば私・・・中学生の時分、年配の男性ばかり(もちろん二次元の世界でですが・・・)好きになってしまい、“ジジ(ィ)コン”と呼ばれた時期が・・・。

 リストランテ「カゼッタ・デッロルソ」の従業員は老眼鏡の紳士限定!・・・これ、オーナーの奥様の趣味。仕事と恋に生きる奥様は、21になる娘のことをオーナーにはナイショにしてる。(バツイチの彼女は娘を祖父母に預けて、オーナーのもとに走ったのだ!)

 母親の秘密をばらすつもりでリストランテにやってきた娘・ニコレッタ。何となく母のペースに巻き込まれ、秘密をばらすことができないままにリストランテの仲間に。紳士達の優しさに触れ、生き生きした母の姿を見て、自分も恋をして・・・だんだんと色んなことがわかってくる。

 みんな人生のすっぱいところも知っていながら、ひねこびず、自分なりに対処して、他人には溢れる思いやりで接して・・・。器用じゃないとこもあるけど、素敵な人たちばかりのお話。なんだかほっとします。


 BLコーナーにあったけど・・・BLじゃないですよ、これはね。

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2006年08月26日

LA QUINTA CAMERA 〜5番目の部屋〜 : オノ・ナツメ

 旅の途中に立ち寄った本屋で表紙の絵にひかれてふと気まぐれに手に取った「LA QUINTA CAMERA〜5番目の部屋」はなかなか良い出会いでした。

 イタリアのとある町、アパートの部屋をシェアして共同生活をする4人の中年?男たちと、余った5番目の部屋にかわるがわる下宿人としてやってくる国籍も性別も年齢もまちまちな留学生のふれあいを点描する短編連作。洗練されたシンプルなラインで造形されたキャラクターは、頭の大きなマスコットのようなプロポーションながら、どこか色気があります。

 お話の方も書き込みすぎない感じで、セリフとコマの行間の余韻を楽しませてくれます。しゃれた映画を観ているようなテイスト。


 オノ・ナツメさんかぁ・・・ちょっと興味もっちゃいました。他の作品も読まなくちゃ。老眼鏡紳士がおもてなし!という文句が気になる「リストランテ・パラディーゾ」にも、江戸が舞台の和モノ「さらい屋五葉 」にも食指がのびる。



別名義でも書いていらっしゃるご様子。



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